■2006.4.7新会社法と事業承継

経営者のためのやさしい一口解説
  
平成18年5月に施行予定の新会社法において、これまでは商法、有限会社法などいくつかの法律に分散されていた会社に関する規定が一本化されます。これに伴い、規定そのものも実質的に大幅に改正されます。特に中小企業に関連する改正は、機関設計の柔軟化、会計参与制度の導入、有限会社制度の廃止、株式制度の拡充、最低資本金制度の撤廃等多岐にわたっています。

今回はこれらの改正事項の中から、株式制度の拡充により事業承継の場面で活用できる改正事項と留意が必要となる事項について取上げます。

1.活用できる改正事項

【議決権制限株式の活用
株式譲渡制限会社において議決権制限株式の発行限度枠が旧商法等では発行済株式総数の2分の1以下であったものが、新会社法では発行限度枠制限がなくなります。
この改正によって、事業承継者以外の者の相続予定株式については議決権制限株式とすることにより事業承継者の経営権の確保を図ることが可能となります。
オーナーの相続開始によりオーナー所有株式を事業承継者以外の相続人も承継することが予想される場合には、株式分散による議決権の拡散を防止するための手法として、議決権制限株式への変更が有効です。

売渡請求権の活用
旧商法等では譲渡制限がある株式であっても相続等により会社にとって好ましくない者に株式が分散してしまうことがありました。新会社法では、相続等により譲渡制限株式を取得した場合には定款に、会社が株式を売り渡すように請求できる旨を定めることにより、会社は相続人等に売渡請求をすることができるようになります。この制度を活用することにより株式の分散を阻止することが可能となります。

機動的な自己株式の取得
旧商法等では、自己株式の取得の決議は定時株主総会に限定されていたため、相続税納付期限と定時株主総会のタイミングの関係で機動的対応は困難でした。新会社法では臨時株主総会でも自己株式取得の決議が可能となったことから、相続により取得した株式を会社へ譲渡して納税資金を調達する方法も納税資金確保の有効な手段の一つとなるでしょう。

2.留意が必要となる事項

従業員持株会の導入
オーナーからみると、会社に対する経営権をキープしながら、所有株式を持株会に譲渡することにより株式数を減少させることができ、また、従業員からみると、会社の株主となることで参画意識が高まり、将来株式公開を計画している場合には財産形成にも役立つことから、近年、この制度を導入する会社が増えていました。
ところが改正により、従業員持株会でも一定の要件をみたしている場合には、少数株主権が認められ、帳簿閲覧請求権や取締役解任請求権の行使が可能となることから、労使間にトラブルが発生した場合にはこの少数株主権により、帳簿閲覧請求権等が行使される可能性がでてきます。
オーナーからすれば、経営権に影響を及ぼさずに所有株式数を減少されることが可能となるメリットがある反面、従業員持株会との関係によってはトラブルを大きくすることも予想されるため、導入にあたっては留意が必要です。

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■2006.4.7会計参与制度の創設

経営者のためのやさしい一口解説

1.はじめに
平成17年6月、商法の会社に関する規定、株式会社の監査に関する商法の特例に関する法律、有限会社法を整理、解釈の明確化・再編成をして、“会社法”が誕生しました。
この会社法の中で創設された新しい制度が“会計参与”です。

会計参与は、税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人といった会計のプロが、株主総会によって選任された会社の役員としての立場で、取締役と共同で計算書類を作成し、かつ、取締役とは別に計算書類を保存・開示することにより、計算書類の正確性と信頼性を高め、かつ、取締役が経営に専念できる環境を創設することを目的とするものです。

2.導入の背景事情
我が国中小企業における資金調達は、伝統的に主として金融機関からの借入金によってまかなわれてきましたが、不動産担保偏重、及び、代表者等による個人保証の問題がかねてから指摘されていました。

今日において、不動産バブル崩壊後において不動産担保は万全とはいえなくなり、個人保証についても社会的問題を生みつつあります。このような時代変化の中で、金融機関が中小企業金融を引き続き円滑に担ってゆくためには、担保を不動産や個人保証以外にも求めていく必要があり、従来以上に計算書類の重要性に注目が集まるようになったものです。そして、計算書類の正確性、信頼性をどうやって高めていくか、といった点に関して議論が行われてきました。

その結論の一方が “中小企業の会計に関する指針” であり、もう一方が “会計参与” です。会計参与と中小企業の会計に関する指針は、車の両輪のようなもの。あるいは、ハードウエアとソフトウエアの関係にあります。

会計に精通した会計参与が、寄るべき会計指針に基づいて、正確な計算書類を作成することに、大きな期待が高まっているところです。

3.会計参与とは
会計参与について、簡単に説明すると、以下のとおりです。
【資格
税理士、税理士法人又は公認会計士、監査法人の資格が必要です。
強制又は任
会社の規模や機関設計のいかんにかかわらず、設置義務のない任意の機関です。
但し、取締役会を設置した場合には、監査役・三委員会等・会計参与のいずれかを設置しなければならないので、会計参与を設置するケースが考えられます。
立場
会社の役員(社外取締役)となります。
兼務
取締役、監査役、使用人は会計参与を兼務する事ができません。
顧問税理士は、上記の使用人等に該当しない限り兼務する事が可能です。
職務
主な職務は、以下のとおりです。
@取締役と共同して計算書類を作成
A計算書類を保存
B株主総会での説明
C閲覧対
責任
会社に対する責任と第三者責任を負います。

4.会計参与のメリット
会計参与は、税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人の資格を必ず必要とします。このような職業会計専門家によって作成される計算書類は当然、正確性が高く、かつ、透明性も高いものといえます。

したがって、会計参与を設置した会社の計算書類は、そうでない会社の計算書類と比べ、金融機関の信頼を得られるものといえるでしょう。

実際に、日本税理士会連合会の作成した「中小企業会計基準適用に関するチェックリスト」を活用した無担保ローンを取り扱う金融機関は、70行を超えています(平成18年1月時点)。このローンは金融機関によって差はあるものの、無担保・無保証に加え、融資審査期間の短縮化、金利の優遇等が行われています。

また、平成17年10月28日付け日本経済新聞によれば、某大手銀行は来年5月をめどに、担保も個人保証も求めない中小企業向け新型融資を大手銀行で初めて導入する方針を決めました。

新会社法で導入される会計参与制度を採用すること等が条件とされ、この条件を満たした企業は貸出金利を通常より0.5%以上低くする優遇を受けるか、金利は高めで個人保証なしにするかを選択できることとされています。

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■2006.2.8実質一人会社に係る役員報酬の一部損金不算入について

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平成18 年度の税制改正のなかに、実質的にオーナー社長が一人で経営しているような会社について、役員報酬の一部を損金不算入とするという項目が含まれています。

この改正は唐突ということもありますが、税務実務の中では驚くべき改正として注目を集めています。今回はこの改正の概要についてご説明します。

1 . 会社を作るとなぜ節税になるのか。

個人事業者が会社を作ると節税になるとよく言われます。これは、法人と個人の税率の格差という点などもありますが、「給与所得控除」というみなし経費が利用できるからです。
すなわち、社長が会社から役員報酬をもらった場合には所得税等が課税されますが、収入に対して直接課税されるのではなく、「給与所得控除」というみなし経費を差引いてくれます。そのため、個人事業で所得税等の課税を受けるより、会社を設立して役員報酬を受ける方が「給与所得控除」の分が有利になるといわれています。

2 . 損金不算入制度の概要

今回の改正により、一定の同族会社について上記の「給与所得控除」に相当する金額が損金不算入となり、実質上節税ができなくなってしまいました。制度の概要は以下のとおりです。

(1) 対象となる法人
同族会社のうち、業務を主宰する役員及びその同族関係者等が、発行済株式総数の90%以上の株式を有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占める場合等に該当する法人が対象となります。

(2) 損金不算入となる部分
上記(1)の同族会社がその業務を主宰する役員に対して支給する役員報酬のうち、「給与所得控除」相当額が損金不算入となります。

(3) 適用除外のケース
次の@またはAに該当する場合にはこの規定は適用されません。
@ 同族会社の所得等の金額(所得の金額と損金の額に算入された給与の額の合計
額)の直前3 年以内に開始する事業年度における平均額が年800 万円以下である
場合。
A 上記3 年間の平均額が年800 万円超 3,000 万円以下であり、かつ、その平均額に
■■ 占める給与の額の割合が50%以下である場合。

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■2006.1.9資産の取得の日と譲渡の日
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そろそろ確定申告が気になる時期となってきました。今回は基本的なことですが、意外と重要な資産の「取得の日」と「譲渡の日」について解説いたします。


1.「取得の日」と「譲渡の日」には幅がある
他から取得した資産の取得の日や資産の譲渡した日は、原則としてその資産の引渡しがあった日によるものとされています。


これは、一般の取引の実態からしても資産の引渡しまでには通常所有権の移転が行なわれ、また、資産の引渡しと同時に代金の請求ができる状態と考えられることなどから、引渡日を資産の取得日や譲渡日の判定基準としているものです。

ただし、納税者の選択により、その資産の譲渡に関する契約の効力発生の日等をその資産の「取得の日」あるいは「譲渡の日」とすることができる場合がありますので留意する必要があります。

2.留意が必要なケース
他から取得した資産の「取得の日」と「譲渡の日」の若干の幅は、契約日が年内で、引渡日が年越しとなるような場合にその選択を意識すると良いでしょう。


@申告年分を選択する
仮に契約日が平成17年で引渡日が平成18年となる不動産譲渡をした場合には、資産の「譲渡の日」を引渡日とすれば平成18年分の確定申告で申告することになりますが、「譲渡の日」を契約日として選択した場合には平成17年分の確定申告で申告することになります。

個人の確定申告は1月1日から12月31日の暦年単位で計算するため、税制改正の内容によってはどちらの年分で申告するかで税負担額が違う可能性があります。このような場合には、税制改正の動向に注意しておくことで、有利な年度で申告するという選択ができることになります。


A取得日と譲渡日の所有期間を選択する個人の譲渡所得の計算においては、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものと、それ以外のもので計算方法が変わることとなっています。

つまり取得の日を契約日とし、譲渡の日を引渡日とすることでこの所有期間を長く取ることが可能なケースが出てきます。

例として平成17年中に売買契約をし、資産の引渡しが平成18年となる場合に、譲渡日を売買契約日とすると、平成17年1月1日で所有期間を判定することになりますが、引渡日を選択した場合には、平成18年1月1日で所有期間を判定することになりますので、所有期間が5年前後の資産の売買には注意した方が良いでしょう。

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■2006.1.7新会社法での有限会社の対応ポイントは?
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ご存知のとおり「会社法」案が平成17 年6 月に国会で可決・成立し、平成18 年5 月頃に施行される見込みとなっています。
新会社法は会社に関する制度を抜本的に見直したものとなっており中小企業にも大きな影響があります。その中でも現在ある有限会社はどのように対応したらいいでしょうか。

1. 株式会社と有限会社の一本化
新会社法では有限会社制度は廃止され、平成18 年の新会社法施行後は有限会社を設立することができなくなります。

現在ある有限会社も新会社法施行後は法律上株式会社として存続することになりますが(法形態としては解散、設立をする)、有限会社の商号を用いたまま「特例有限会社」として存続することもできます。

それでは、特例有限会社と株式会社のどちらを選択したらいいのでしょうか。
特例有限会社は原則として現行の有限会社に準じた措置がとられており、役員の任期がなく、決算公告の必要もありません。
また、新会社法施行後も商号中に有限会社の文字を使用する必要があるため、商号変更を行う必要がなくコストが抑えられます。
一方、株式会社を選択した場合は商号変更等のコストがかかりますが、一般的に有限会社より信用度が高くなると思われ、また新会社法施行後は新たに設立される有限会社はなくなるため、割合的には今後株式会社が増えていくことになると考えられます。


どちらを選択するかの主なポイントは以下の通りとなります。

■■■■ 有限会社のままの場合
(特例有限会社)
株式会社に商号変更した場合

取締役の
任期規制

任期規制がない 任期規制あり (最長10年)
決算公告
義   務
義務がない 義務がある
登   記 登記の変更は特に必要なし 解散・設立の登記を行う必要あり
そ の 他 有限会社のままであることにつき現状では特に期限なし ・ 一般的に信用度が高い
・ 取締役会設置会社でなければ取締役を増やす必要はなし
(1人のままでもOK)


2. 特例有限会社を選択した場合の注意点
特例有限会社を選択した場合の注意点としてはどのようなものがあるでしょうか。
特例有限会社では監査役を置くことはできますが、新会社法で新たに創設された会計参与を置くことはできません。
したがって、今後銀行からの要請や会計処理の透明性を高めるなどの理由から会計参与を置く必要がある場合には、株式会社に移行する必要があります。

また、株式会社への移行はいつでも行えますが、一度株式会社へ移行するとその後特例有限会社へは戻れませんので、十分な検討が必要となります。

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■2006.1.7年末までに見直し・実行したい事項
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税務上の特例等を受けるための手続きの期限が今年の年末までのもの、暦年単位で実行をした方が節税効果が大きいと思われるもの等、年末までに実行した方が税務上、有利と思われる事項をご説明します。

1.消費税の経過措置を受ける課税事業者の簡易課税選択届出書

平成15年の税制改正により事業免税点が引き下げられたことにより、新たに課税事業者となる事業者が簡易課税制度を選択する場合には、経過措置により平成16 年4 月1 日以後最初に開始する課税期間中に簡易課税事業者選択届出書を提出すれば、当該課税期間から簡易課税制度の適用が認められます(本来、選択届出書の提出は適用を受けようとする課税期間の前日までと規定されています)。

個人事業者の場合、改正により課税事業者となる最初の課税期間は原則として平成17 年1 月1 日から平成17 年12 月31 日であるため、平成17 年12 月31 日までに、平成17 年1 月1 日開始課税期間より簡易課税制度を選択する旨の届出書を提出すれば、簡易課税による申告が可能となります。

2.住宅取得資金贈与の特例

平成17 年12 月31 日までに父母等から住宅取得資金や一定の増改築資金の贈与を受けた場合で、一定の要件を満たす者は、「住宅取得資金等の贈与を受けた場合の贈与税額の計算特例  (550 万円まで無税で贈与可能)」と「相続時精算課税制度(3,500 万円まで特別控除可能)」との何れか有利な方法が選択可能です。

両者とも居住用住宅を取得するための金銭贈与を受ける場合の特例ですが、適用要件が必ずしも同じではないため、両者を比較検討した上でどちらの特例の適用が可能なのか、またどちらの特例を受けるのが有利なのかの判断が重要となります。

平成18 年1 月1 日以降は、相続時精算課税制度(2,500 万円まで特別控除可能)の適用のみとなるため、住宅取得資金の贈与を検討されている場合は、平成17 年12 月31 日までに、要件等を確認した上で実行することが必要です。

3.小規模企業共済制度への加入
小規模企業共済制度とは、小規模な個人事業主と会社等の役員のための「退職金制度」と言われています。掛金は毎月1,000 円から70,000 円の範囲内(500 円単位)で自由に選ぶことができ、加入後、増・減(減額する場合には一定の要件が必要です)することも可能です。

税務上のメリットとしては、掛金全額が「小規模企業共済等掛金控除」として課税所得金額から控除される点にあります。1 年分の掛金前納制度もあり、年末に1 年分前納すれば、最高84 万円の所得控除が可能となります。
また、共済金等は受け取る際の状況により、退職所得、雑所得、死亡退職金(相続税の対象)など税務上の取扱いが異なりますので、ご留意ください。

なお、今後の税制改正により検討が必要と思われるものが、ゴルフ会員権の譲渡です。
ゴルフ会員権の譲渡により発生する譲渡損失について現行法では、他の所得との損益通算が可能です。しかし、昨今の税制改正の動向によると「ゴルフ会員権の譲渡損失の損益通算不可」への改正は必須との声も大きいため、会員権の譲渡を予定されている場合には、年内中の譲渡の実行は税負担の軽減を図る上で重要な検討事項の一つではないでしょうか。

ただし、会員権の種類等によっては他の所得との損益通算ができない場合もあるので、会員権の種類等を確認の上、譲渡を実行されることが肝要です。

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■2006.1.7中小企業の会計に関する指針の創設
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1.はじめに
平成17 年8 月3 日、中小企業の会計に関する指針(以下、本会計指針という)確定版が公表されました。従来、中小企業庁編、日本税理士会連合会編、日本公認会計士協会編と分かれていた中小企業会計に関する方針が統合化されたものです。

本会計指針策定の目的は、2 つあると言われています。

第一は、中小企業の会計の質の向上です。
第二には、平成18 年5 月施行が予定されている新会社法における会計参与が取締役と共同して計算書類を作成する際の拠りどころとするためです。本会計指針はその名のとおり、中小企業における会計のスタンダードとなるものです。新会社法における会計参与設置会社が計算書類を作成する際に拠りどころとするだけでなく、すべての中小企業が本会計指針を適用することが推奨されています。

2.中小企業の会計に関する指針の内容
中小企業の会計に関する指針に記載されている主な項目をまとめると、次のとおりです。
本会計指針に記載されていない項目については、一般に公正妥当とされる会計基準に拠ることになります。

(1) 貸倒引当金
金銭債権について、取立不能のおそれがある場合、取立不能見込額を貸倒引当金として計上しなければならないとされました。但し、法人税法の区分に基づいて算定される貸倒引当金繰入限度額が明らかに取立不能見込額に満たない場合を除き、繰入限度額相当額をもって貸倒引当金とすることができることとされています。

(2) 固定資産
固定資産の減価償却は、経営状況により任意に行うことなく、定率法等の方法に従い毎期継続して規則的な償却を行うこととされました。従って、従前、いわゆる税法基準で任意に減価償却を行っていた場合、見直しが必要となります。償却費の計算に際しては、法人税法上の耐用年数を用いて計算した償却限度額を減価償却費とすることが認められます。
なお、注目されていた減損処理については、中小企業に対して厳格な減損処理の適用を求めるのは困難であることから、将来使用の見込みが客観的にないこと、又は、固定資産の用途を転用したが採算が見込めないことのいずれかに該当し、かつ、時価が著しく下落している場合に限り、減損損失を認識することとされました。

(3) ゴルフ会員権
ゴルフ会員権については、中小企業において法人所有形態が比較的多くみられ、総資産に占める割合を考慮し、重要性の観点から減損処理が採用されました。減損処理をした場合には、法人税法上別表調整が必要となります。具体的には、次の場合に減損処理が必要となります。

 ★ 時価があるゴルフ会員権・・時価が著しく下落したとき

 ★ 時価がないゴルフ会員権・・発行会社の財政状態が著しく悪化したとき

預託保証金方式のゴルフ会員権の減損処理は、原則として次のように行います。

(4) 退職給付債務
会社が退職給付制度を採用している場合には、引当金の認識が必要とされました。
この場合、簡便的方法である退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を適用でき、退職給付会計基準にある年金数理に基づく債務認識は行わなくても認められます。引当金を計上した場合には、法人税法上別表調整が必要になります。

また、中小企業が退職給付引当金を計上していない場合、一時に処理することは、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性が高いため、本会計指針適用に伴い新たな会計処理の採用によって生ずる適用時差異については、通常の会計処理と区分して、10 年以内の一定の年数又は従業員の平均残存勤務年数のいずれか短い年数にわたり定額法により費用処理することができるとする経過措置が置かれました。

(5) 税効果会計
税効果会計については、一時差異(会計上の簿価と税務上の簿価)の金額に重要性がない場合には、繰延税金資産・負債を計上しないこともできるとされました。

繰延税金資産を計上する場合は、商法上配当制限規定がないため、回収可能性については厳格、かつ、慎重に判断を行い、回収可能性があると認められる金額を計上することとされました。

評価損
預託金引当金
取得価額時価


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■2006.1.7投資促進税制
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「投資促進税制」とは、読んで字のごとく投資の促進を促すことを目的とした税制のことです。現在利用可能な主なものとして「中小企業投資促進税制」「IT投資促進税制」「人材投資促進税制」の3 つを挙げることができます。そのうち今回は「中小企業投資促進税制」、「IT投資促進税制」の概要についてご説明します。

1. 中小企業投資促進税制の概要
 
対象者 青色申告を提出する個人事業者または資本金1 億円以下の中小法人等
対象設備 ・ 機械装置で一台の取得価額が160万円 ( リースの場合210万円 )上の
もの
・ 特定の器具備品で一台または同一種類の複数台の取得価額の合計が
120万円 ( リースの場合160 万円 ) 以上のもの
・ 総重量3.5 トン以上の普通貨物自動車
・ 内航船舶
措置の内容 ・ 7%の税額控除または30%の特別償却(資本金3 千万円超の法人は特
別償却のみ)
・ リースの場合はリース総額の60%について7%の税額控除
適用期限 平成18 年3 月31 日まで

2. IT投資促進税制

対象者 青色申告を提出する個人事業者または法人
対象設備 ・ 取得価額の合計が70 万円以上などの一定の要件を満たすソフトウエア
・ 電子計算機、デジタル複写機、FAX 等一定の資産で取得価額の合計が
140万円以上などの一定の要件を満たすIT関連設備
措置の内容 ・ 10%の税額控除または50%の特別償却
・ リースの場合はリース総額の60%について10%の税額控除
適用期限 平成18 年3 月31 日まで


上記の制度は創設されてから数年が経っていますが、適用範囲の拡大により多くの中小企業者・個人事業者にとって利用可能なものとなっています。税額控除・特別償却のいずれかの選択が可能であり、また、リースでも適用を受けられる取扱いになっています。本年度創設された「人材投資促進税制」と併せて制度の活用を検討されてみてはいかがでしょうか。


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■2006.1.7人材投資促進税制
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長引く不況の中リストラ等を迫られ、人材投資を縮小せざるを得なかった近年ではあるが、最近では人材育成に積極的な企業に税制上特典が与えられる、いわゆる人材投資促進税制に注目が集まっているようです。

(1)制度の概要
 この制度は青色申告書を提出する法人及び個人にその適用があり、業種や規模を問わず全ての企業が対象となります。
 この制度は、当期の教育訓練費が一定の増加をした場合にその増加額のうち、最大で25%を適用年分の法人税や所得税から控除できるというもので、簡単に算式で表すと
(当期の教育訓練費−前2事業年度の教育訓練費の平均)×25%(一定の上限有り)
となります。

法人の場合は平成17 年4 月1 日より開始する事業年度から、個人事業者は平成18 年分から適用することができます(3 年間の時限立法)。

(2)教育訓練費の範囲
 人材投資促進税制の適用にあたっては、正社員や契約社員、パート・アルバイトなど、自社の使用人や個人事業者のその事業に係る使用人に対する職務に必要な技術や能力の習得や向上のために行なった教育訓練費用がその対象となります。

一方で自社の役員や個人事業主とその特殊関係にある者、使用人兼務役員や入社予定者に対する教育訓練費用は残念ながらこの制度の対象とはなりません。

(3)中小企業者等の特例
 この制度の注目すべき点は、その趣旨もさることながら青色申告書を提出する中小企業者等には、増加額の一定割合が税額控除できる(1)に代えて、かかった教育訓練費の総額に対して下記の一定割合を法人税または所得税から控除できるという特例との選択が可能であるという点です。一定の上限はあるものの、中小企業者等にとってはかなり有利な制度となっています。

@適用年度の教育訓練費増加割合が40%以上の場合・・・20%

A適用年度の教育訓練費増加割合が40%未満の場合・・・教育訓練増加割合×0.5

経済活動のグローバル化や、技術やノウハウの高度化・短サイクル化、熟練技術者の高齢化のという状況に対応するためにも、個人が自ら行う学習もさることながら、本税制を上手く活用することで、企業が必要とする人材を、企業自身が育成するということが可能になるかもしれませんね。

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■2006.1.7申告書に誤りがあった場合
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日本では比較的3月決算の会社が多いため、申告書を提出されてほっとされている経理部署のも多いと思います。
それでは提出期限後に翌期の売上が誤って計上されていることが判明した場合や、当然損金になるべきものが損金に算入されていなかった等の誤り(単純なものに限る)が判明し、税金を多く納めすぎていたことに気づいた場合は、どのような手続きが必要となるでしょうか。

納付すべき税金が多すぎる場合や還付税金が少なすぎる場合には、更正の請求により納めすぎの税金などについて還付を請求することができます。

逆に申告書に計算間違いなどの誤りがあった場合で、納付すべき税金が少なすぎる場合や還付税金が多すぎる場合は自主的には修正申告によって誤りを訂正することになります。

更正の請求は次の場合に行うことができます。

1. 法定申告期限から1年以内に限り税務署長に対して更正の請求がおこなえる場合
申告書に記載した課税標準や税額等の計算が法律の規定に従っていなかったり、その計算に誤りがあった場合で、以下の場合

(1) 納付した税額が過大となったとき

(2) 申告書に記載た純損失等の金額が過少であるとき、又は純損失等の金額の記載
    がなかったとき

(3) 申告書に記載した還付金の額が過少であるとき、又は還付金の額の記載がなかっ
    たとき

2. 法定申告期限から1年を経過した後に次の事実が生じた場合にはその日の翌日から2ヶ月以内であれば更正の請求が行える場合

(1) 税額等の計算の基礎となった事実に争いがあり、その争いの判決により、申告時の
     事実と異なることが確定した場合

(2) 申告時には自己のものとして申告していた所得などについて、他の者のものとし更
    正や決定があった場合

(3) 法定申告期限後に生じた一定のやむを得ない理由がある場合

3. 各税法の特則による場合

税務調査により前事業年度が更正等されたことに伴う更正の請求等

更正の請求書の提出期限を過ぎた場合は、還付等はできないことになるのでしょうか。

その場合は、所轄の税務署長に減額更正の嘆願(お願い)をおこなうことによって職権更正をしてもらえる可能性があります。

職権更正が可能な期間は原則として法定申告期限から5年間ですが、法人の場合で純
損失等の金額もしくは還付金の金額を増加させる更正については、法定申告期限から7年間とされています。

更正の請求と減額更正の嘆願は、前者が納税者に認められた固有の権利であるのに
対し、後者は納税者の権利ではなく、税務署長の裁量を求めるお願いである点が大きく異なります。


      資料提供
      税務研究会 税研情報センター
      101-0065 東京都千代田区西神田1-1-3
      税研ビル5F
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■2006.1.7個人情報保護法がスタート

経営者のためのやさしい一口解説


平成17 年4 月1 日から個人情報保護法が施行されました。今月は、個人情報保護法の概要について簡単にご説明します。

個人情報保護法は、5,000 人以上の個人情報を取扱う事業者(=個人情報取扱事業
者)に対して、事業者が保有する個人情報を適正に管理・利用することを義務付ける法律であり、平成15 年5 月に成立、公布されました。そもそもの生い立ちは、住民基本台帳法の改正のための前提条件として個人情報が民間に漏れるリスクをカバーするために個人情報を守る法律の必要性が叫ばれたことにあります。

1.個人情報取扱事業者とは?
個人情報取扱事業者とは、「特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成した、または容易に検索することができるように体系的に構成した個人情報データベース等を事業の用に供している者」のことをいいます。

ただし、過去6 月以内において個人情報によって識別される個人の数の合計が5,000 人を超えない者は除かれます。

2.適正な取得と利用目的の特定化
個人情報取扱事業者は収集する個人情報の利用目的を特定化し、特定化された利用目的の範囲を超える個人情報の利用は禁じられています。また、この法律でも「偽りその他不正の手段による個人情報の取得」例えば、ハッキングによる取得や社名や目的を偽っての取得は禁じられています。

3.安全管理方法の確定
個人情報取扱事業者は個人情報の漏えい・滅失・毀損防止の安全管理のために、必要かつ適切な措置をとることが求められます。
例えば「安全管理に対する規定や手順書を整備・運用する。」「個人データへのアクセス制御等の技術的安全管理措置をとる。」等があげられます。

4.プライバシーポリシーの公表
個人情報保護に関する考え方や基本方針(一般的に「プライバシーポリシー」と呼ばれています)を作成して、店頭に掲示したり、パンフレット等を配布したり、またはウェブ画面上で掲載する等の方法により公表することが必要です。

個人情報取扱事業者に該当するか否かにかかわらず事業者であれば、事業を通じて得た個人情報の流出や第三者への譲渡等の事件が発生した場合には、長年築いてきた信用という財産を一気に失ってしまう事態となり、最も深刻なケースとしては、企業存続の危機に直面する恐れがあります。
また、一個人という立場からは、アンケート等に応じる際にはその利用目的が具体的かつ明確に記載されているかどうかをチェックし、不明瞭なものには応じない等の自己防衛も大切と思われます。

施行されて間もない法律ですが個人情報保護法施行を期に、今後個人情報の取扱いについては、厳しくチェックされる場面が増加することが予想されるため、情報の安全管理方法等の確立等、少なくとも社内管理体制は早急に整備する必要があるのではないでしょうか。

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■2006.1.7企業再生円滑化税制

経営者のためのやさしい一口解説
  
1.税制改正のポイント

平成17年度税制改正において企業再生の円滑化を支援するための税制の整備が図られました。 我が国における企業再生の分野は、従来は倒産分野に精通した法律事務所などを中心に業務が進められてきましたが、今日では事業の毀損と経済的な損失を最小限に抑えるために、国家的なプロジェクトとして、官民(行政、金融機関、再生ファンド、法律事務所、会計事務所など)一体となった企業再生支援の枠組みができています。

企業再生を支援する税制としては、従来から、平時では認められない評価損や期限切れ欠損金の損金算入などの特別な取扱いが認められてきたものですが、原則として法的手続(会社更生手続、民事再生手続など)をとった場合に限られていました。

しかしながら、法的手続の申立をした場合、いくら再生手続であったとしても“事実上の倒産”といった烙印を押されかねず、信用の著しい毀損を招くため、私的整理手続に頼らざるを得ない実態があります。

平成17 年度税制改正においては、このような社会の実情に配慮し、かつ、迅速な企業再生を支援する観点から、民事再生法等の法的整理手続に加え、これに準ずる一定の要件(※1を満たす私的整理手続においても、債務免除が行われた際の評価損の損金算入※2 及び期限切れ欠損金の優先利用を認めることとされています。)は以下のように定められています。

@一般に公表された債務処理を行うための手続についての準則に従って債務処理計画
■■が策定されていること
A手続は公正かつ適正なものと認められるものであり、次の事項が定められていること
   ・債務者の資産評定に関し、公正な価額による旨の定めがあること
   ・債務処理に関する専門知識と経験を有する3 人以上のチームが、確認をすること
B資産評定に基づき貸借対照表が作成されること
C上記の貸借対照表や事業計画に基づいて免除額が定められていること
D 2以上の金融機関によって債務免除が行われること(整理回収機構は単独放棄でも
■■可)

私的整理手続のうち、整理回収機構や中小企業再生支援協議会が関与する私的整理手続及び私的整理ガイドラインに基づく私的整理手続が対象となる見込みです。

正式には、各手法ごとに資産評価基準の策定等の所要の見直しを行った後、国税庁に対する文書照会により本制度の対象となる旨が明確化される予定です。
※2 評価益がある場合には併せて計上することが、評価損の損金算入及び期限切れ欠損
金の優先利用の要件となっています。

2.税制改正の効果

企業再生円滑化税制の適用による主な効果をまとめると、次のとおりです。

@再生会社においては、債務の免除益課税を如何に回避するかといった点に税務の力
■■点が置かれます。税制改正によって、合理的な私的整理手続も、評価損と欠損金(青
■■色+期限切れ)という2つの財源をもって評価益課税に対処することが可能となりまし
■■た。
A私的整理手続の場合には、評価損の計上は原則として認められなかったため、資産
■■を売却し損を実現する必要がありました。税制改正によって、資産売却による損の実
■■現を待たずとも評価損の計上が出来るため、迅速な事業再生が可能となりました。
B従来、青色欠損金と期限切れ欠損金が競合する場合には、青色欠損金から先に利
■■用しなければなりませんでした。期限切れ欠損金は債務免除益と役員等からの私財
■■提供益にしか使えないので、使途の制限を受けない青色欠損金を温存したいニーズ
■■が以前から強かったので、現に会社更生手続ではそれが認められていました。税制
■■改正によって、期限切れ欠損金を優先的に利用できるようになりました。 

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